みなさんこんにちは!こんばんは!ケンマルです。
今回は高次機能障害についておもに一般の方向けに簡単に基本的なことをまとめてみました。
高次機能障害とは
脳卒中や交通事故などで脳の損傷が原因で、言語や記憶、注意、情報といった認知機能に怒る障害を高次機能障害といいます。
もっとかみ砕いて言うと、”こころ”がはたらいていると感じているような部分に起きる機能障害です。
また症状も多岐に渡り、脳の損傷部位によって症状も変化します。例えば性格が変わってしまう、疲れやすくなるなど。
高次機能障害発症原因
8割が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害)で1割が交通事故などによる脳外傷によるものです。
その他で、脳炎、窒息や心筋梗塞から起こる低酸素脳症や脳腫瘍、症候性てんかん、正常圧水頭症、パーキンソン病、アルコール依存症などによる脳の損傷で発症するこもあります。
高次機能障害症状と対応例
部位別症状例
前頭葉
- 相手の気持ちを思いやることが出来ない
- 人の意見に耳を傾けることができない
- 自分はなんでもできると思う。
- 人を許すことができない
- 人への気遣いが乏しい
- 注意・集中力が無い
- やる気が起こらない
- 落ち込むことが多い
- 元気が無い
- 怒りっぽい
頭頂葉
- 今自分がいる場所が分からない
- 服を上手く切ることができない
- その場の雰囲気を掴むことができない
- 左側の食べ物を見落とす
- 道に迷う
側頭葉
- 人との約束を忘れることがある
- 昨日の食事の内容を思い出せない
- 物を覚えることが難しい
後頭葉
- 字を見ても読めないことがある
- 人の話を聞いても理解できない
- 数字がわからない
- 左右の区別を間違えることがある
- 人や物の名前が出てこない
- 言葉の意味がわからないことがある
高次機能障害の代表的な種類
記憶障害
単なる物忘れではなく、どんな内容かを忘れてしまうかによって対応が変わります。
大事なのは具体的にどんな内容を忘れるかを確認しておくことが必要です。
記憶障害の種類
種類 | 症状 |
前向性健忘 | 発症後に新たに経験したことが思い出せなくなる状態。 例)事故後、自分や家族の名前は問題なく思い出せるが、新しく出会った医師や看護師の名前が覚えられない。 |
逆行性健忘 | 発症前に経験したことが思い出せなくなった状態。 例)事故後、新しく出会った医師や看護師の名前は問題なく覚えられるが、自分や家族の名前を思い出せない。 |
短期記憶障害 | 読書や計算などの時に使われる、短い時間の記憶が障害される。 例)ついさっき食事したことを忘れて、「ごはんまだ?」と聞いてしまう。 |
長期記憶障害 | 再びその情報が必要になるまで貯蔵しておくための記憶が障害される。 例)自転車の乗り方が分からなくなる。 会社から自宅までといった、通い慣れた道順が分からなくなる。 |
対応
- 忘れてしまうのは、病気のせいなので、繰り返し聞き、説明をしてあげてください。
- 忘れにくいような環境設定にする(目で見て分かるような工夫など)
- 時間に合わせて(カレンダーなど)一緒に書く事も有効なこともあります。
注意障害
ぼんやりしていて、何かをするとミスばかりします。二つのことを同時にしようとすると混乱します。
種類 | 症状 | 対応 |
持続性 | 注意力や集中力を持続させて一つのことを続けるということができなくなります。疲れやすいために途中で投げ出したり、周りからは飽きっぽいという印象を持たれます。 | こまめに休憩が取れるような環境が必要です。 |
選択的性 | 多くの情報の中から今必要な情報だけを選ぶという能力が低下し、いろいろなものに反応してしまいます。 | 隣の人と仕切りを作って見えないようにするなど、気が散る原因を取り除く必要があります。 |
転導性 | ひとつのことに注意を向けているときに、他の別のことに気付いて注意を切り替える、という能力が低下します。 | 周囲の協力で、注意の転換が必要ない環境を作る。 |
配分性 | いくつかのことに同時に注意を向けながら行動する、という能力が低下します。大勢で会話をするとか、助手席の人と会話をしながら運転する、ということが難しくなる。 | なるべく一つずつやるようにする。 |
遂行機能障害
自分で計画を立ててものごとを実行することができない。人に指示してもらわないと何もできないという状態。
種類 | 症状 |
目標の設定の障害 | 何かを始めるときに「○○をしたら、□□になる…」といった予測を立てずに、手当たり次第に物事を進めてしまう。 |
計画立案の障害 | 何かを始めるときに「○月□日までにこれをして…」といったように、具体的な締め切り設定できない。 |
計画の実行の障害 | 「○○をしてから□□をして、最後に△△をする…」と段取りを組んでいるのに、いざ始めると気が向いた順で作業を行ってしまう。 |
効果的・効率的な行動の障害 | 急な予定変更が起こった時に、その状況に応じた計画変更ができない。 |
失行症
運動器官(手足などの筋力や感覚)の問題がないのに手慣れた動作を行うことができない状態。
種類 | 症状 |
肢節運動失行 | 手指などの動作が、あらゆる場面で不器用・ぎこちない・動作を開始できないなど |
観念運動失行 | 習慣的な動きが出来ないなど |
観念失行 | 日常で使い慣れた道具が上手く使えないなど |
対応
- 日常生活のどんな場面で現れるか把握失敗を少なくできるようにできない箇所で手を添
える。
間違っていても過度に訂正・指摘を加えない。 - 環境を整える
集中しやすい環境で行う。時間にゆとりを持って
自分のペースで進められるよう援助する。 - 関わり方の統一
・リハビリ・ナース・家族で関わり方(声掛け
や手の添え方)統一する。
・一つの動作が終わってから次の行動を促す。
(同時に複数の指示は控える)
・本人の納得しやすい方法。(絵図や言葉)
失認症
失認とは目や耳の感覚は正常なのに、麻痺側の人や物が認識できないことを言います。
種類 | 症状 | 対応 |
半側空間失認 | 視角・聴覚・触覚は正常なのに麻痺側からの刺激を無視することをいいます。 | 例えば右麻痺の人が食事をするときに右側の食べ物だけを残してしまう場合は左側に食べ物を置くなどし環境を整えることも有用です。 |
身体失認 | 麻痺している体が自分の身体であると認識できないことをいいます。 | 麻痺側の手を車いすの車輪に挟んでしまい危険な場合はクッションなどを使用し麻痺側を巻き込まないように工夫する。 |
まとめ
今回は高次機能障害について簡単に症状をまとめてみました。
介護の現場でも高次機能障害をもつ利用者さんが多くいます。症状は様々ですが、その方の性格や症状に合わせ焦らすことや混乱しやすい環境を取り除くことが本人にとって良い状況を作り出すきっかけだと思っています。
ご家庭で対応されることは大変だと思いますが少しでも役に立てればと今回の記事を書いてみました。