みなさんこんにちは!こんばんは!ケンマルです。
私の働いている施設では、今後看取り介護も行って行く方向で話が進んでいて現場の職員から様々な意見や不安などが出ています。
施設での看取りについてほとんどの介護職員が漠然としたイメージしかもっていないこともあり、看取りを導入したら今以上に介護の量や記録物が増えて業務がきつくなるんじゃないか?とか一生懸命介護してきた利用者さんの最後に立ち会えるんだからいいことじゃないかとか意見は様々です。
そこで、介護現場での看取りについて色々とまとめや考えを書いてみたいと思います。
施設での看取り介護とは
看取り介護とは
最初に唐突ですが、私たちにとって理想な死ってどんなものなんだろうって考えたことがありますか?
住み慣れた自宅や施設で家族やなじみの職員に看取られながら最後を迎えたいと考える人も多いと思います。
また、ある資料では理想の最期と死の不安 というアンケートで「心筋梗塞などで、ある日突然死ぬ」と回答した人が64.6%と回答が出ています。この回答をした人の主な理由が「家族にあまり迷惑をかけたくないから」という理由が85.9%を占め、次いで「苦しみたくないから」(62.3%)、「寝たきりなら生きていても仕方ないから」(54.3%)が続くきます。※第一生命経済研究所資料参照
ここで読み取れるのが「家族への負担」を気にされる方が多いという事。
そこで近年、特別養護老人ホームなどの施設では看取り介護を行う所が増えてきました。
看取り介護の定義として平成26年に、「公益社団法人全国老人福祉施設協議会」が発表した「看取り介護指針・説明支援ツール」では、次のように定義されています。
近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、 人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること
つまり看取り介護とは延命を目的とする治療や介護をするのではなく、本人にストレス無く自分らしい最後を迎えて頂けるように介護することだといえると思います。
ターミナルケアとの違い
看取り介護とならんでよく使われる言葉でターミナルケアがあります。
ただ、看取り介護とターミナルケアは性質が大きく異なります。
ターミナルケアは「終末期医療」ともいわれる通り、点滴や酸素吸入など医療的ケアを中心とするのに対し、看取り介護は食事排泄の介助や職層防止など日常的なケアが中心となります。
看取り介護は実際どんなことをするの?
介護現場で実際に「看取り介護」を介護職員が行う際どんなことをするのか調べてみました。
- 精神的ストレスの緩和
人は死を感じると不安になったり寂しさなど孤独感にとらわれやすくなります。背景には高齢になり友人や知人も無くなることが増えたり、心身の衰えから出来なくなることも増えたりと、喪失体験を感じることが多くなるからです。
そういった背景を介護士は感じ取り、利用者さんに対して心情を理解するような声掛けをしたり、手や身体などを優しくさすったり等、優しいコミュニケーションを心掛けストレスを少しでも減らせるように努めることがとても大事です。
また、利用者さんの希望を聞き出し出来る限り(出来る範囲で)希望に沿った生活を送れるように支援しましょう。 - 身体的ストレスの緩和
死に近づと寝たきりの状態になる事が多いため、褥瘡になるリスクも増大します。その為、スキンケア(除圧や保湿等)も大事になります。
また、バイタルの変化の管理も行います。尚、利用者さんが少しでも過ごしやすい環境を整えるのも大事です。例えば、趣味の物やなじみの物を部屋に置いたり好きな音楽を流したり等。 - ご家族に対するケア
利用者さん本人はもちろん、そのご家族にもこまめに情報提供をして利用者さんが最後を迎えるにあたって何をしていくのかしっかり説明しご家族の納得を得ることがとても大切になります。 - 他職種連携のケアカンファレンスで看取りケアの計画の見直しなど
看取りに向けたケアカンファレンスは、医師、看護職員、ケアマネジャー、介護職員などの多職種が協働して開催し、本人が最期をより豊かに過ごせるよう、各職種でできること・すべきことを話し合います。
また看取り介護計画は、週に1回程度の見直しが求められます。 - 看取りの準備・エンゼルケア
看取りの準備で、介護職員が行えることは多くありません。ひとつは家族が到着するまで、できる限りのケアを行います。
息を引き取ると、エンゼルケアを行います。
タイミングとしては、医師の到着を待つまでの間に行うこともありますし、検死後に行うこともあります。
体をきれいに拭き、新しい服に着替えさせ、整容や化粧を施します。
実際、現場で看取り介護について話し合ってみた
実際看取り介護について現場で話し合った際にでた意見を挙げてみたいと思います。
- 多くの職員は現時点で人員不足で通常の介護もおろそかになっているのに看取りのように利用者さんにより一層寄り添う必要のある介護は無理がある。
- 日中などはまだいいが、夜間帯に息を引き取った際の対応など不安で精神的ストレスが大きい。
- なじみの利用者さんを見送れることは介護士としても意義のあることだと思う。
- とにかく未知数な点が多く、看取り介護を行う前にきちんと勉強会をしてほしい。
- たださえ心身にストレスがかかる介護の仕事なのにこれ以上負担がかかるのであればカウンセラーなど常駐して介護スタッフのメンタルケアもしてほしい。
などが意見として挙げられました。やはり現場の職員の心身の負担や看取り介護への不安が多く挙げられていましたね。
私は看取り介護は賛成派ですがそれでも始めるに当たっては正直色々と不安な点もあります。
その為、事前に情報共有や看取り介護への理解を深める勉強なども不可欠だと感じています。後は、施設側に介護職員への色々な配慮などなど。
看取り介護に思う事
私たち介護士は介護の専門職です。
様々な状況においても冷静に受け入れ対応を求められます。
ですが、大事にお世話をしてきた利用者さんが亡くなるという事は相当な精神的なストレスを抱えることだと思います。
看取り介護はまだ未経験ですが、私も何度か利用者さん無くなる姿を見てきました。
20年近く介護をしていても未だに利用者さんの死にはショックを受けてしまいます。
この前ユマニチュードの勉強会に参加したとき、講師の方がマザーテレサの名言「人生の99%が不幸だとしても最後の1%が幸せならばその人の人生は幸せなものに変わる」という言葉を聞いた時に、これって看取り介護にも当てはまるんじゃないのかな?って思いました。
看取り介護をマザーテレサの言葉に置き換えると、この1%を看取り介護をすることで死を迎える利用者さんに寄り添い少しでも幸福だったと思える介護をプロデュースするこが大事でとてもやりがいのある仕事になるんじゃないかなと。
「理想の最後」は利用者さんそれぞれだと思います。
大切なのは利用者さんが何を求めているのかを引き出すコミュニケーションだと思います。
それが出来るのはご家族と私たち常に身近にいる介護士だと思っています。
最後まで読んで頂きありがとうございます。